ご無沙汰しております。2歳児のパパでございます。
前回、予告しました息抜きがてらの近況報告は、息抜きができなかったために現在に至ることをここに白状いたします。しかし、このままでは、11月は誰も投稿なしというブログ終焉にありがちないけないパターンを救うべく、私が僭越ながら立ち上がることにいたしました。
それにつけても、私は、どうしてこんなに暇なしなのか表題のとおりサッパリわからないのですが
- 私が選んだ科目が単にサディスティックだっただけか、
- 私のtime management能力が低かっただけか、
- Sternの科目が単に小生の能力の限界を超えていた
.......理由は、これらのいずれか、または、組み合わせれば見つかると思われます。
では、言いっぱなしは最も嫌われるので、嫌われないためにも検証してみたいと思います。小生の中で最もサディスティックな科目は戦略系の科目で、Competitive strategy in the marketplaceという科目です。是非とも一端を紹介し、苦しみを分かち合っていただきたいと思う次第です。SternでBest professor賞を4回受賞した定評ある教授が教鞭を振るう授業です。ハンドアウトとして478枚の戦略のレクチャースライドをまとめた本、副読本として教授の著書、受講生がグループプレゼンを行うケースをまとめたケースブックがこの科目の必須アイテムです。
1回90分の授業が毎週2回開講され、前半の14セッションで戦略論をひと通り学びます。陸軍士官学校のWest Pointでも今なおカンナエの戦い(数で劣るハンニバル軍が、強敵ローマ軍を圧勝した歴史的決戦)を戦略の基礎として学ぶという理由のもと、紀元前の戦略から私たちは学び始め、1960年代のPIMS、SWOT分析、1970年代のAbernathy-Utterback理論、BCG matrix, 経験曲線、Value map、1980年代のPositioning論, RBV論といった定番理論を今日の競争環境に当てはめながら振り返り、Aakerのブランド理論、ゲーム理論を学んできました。その後に、学生が3人から5人のグループで全11ケースをプレゼンすることになりますが、これが大変な曲者でありました。学生はまず、Board memberとして他グループのケースを経営者の立場から検証することが求られるのですが、事前に教授の教科書に掲載されている13章ごとにケース分析を定性分析と、Crystal ballでspreadsheet modelingを行って得られる感度分析の結果をふまえてレポートを作成して提出しなければなりません。一方で、自分たちのプレゼン準備を行うのですが、25分間のプレゼンの時間配分のうち、どのように使うかを分単位で管理されており、場面設定はBoard memberに提案する担当者というものであるため、登場するcompetitorの経営数字、マーケットシェアをそらんじて言えることが前提で、プレゼンのマナーとして殆ど画面を見ずにリモコンを片手にBoard memberを見て語りかけることがルールと明記してあるとんでもないdemandingなものでありました。そういえば、最中にHalloweenがあり、Halloween Paradeなるものがありました。自習室を脱走し、家族と大学近くまで見に行きましたが、小雨は大雨へと変わり、雨宿りに入った日本料理屋は実はChinese経営で、親子丼を頼んだのに見たことのないチャーハンが出てきたこともありましたっけ。
しばしの娯楽も神は許さないのかと、思った次第です。
若い人は知らないかもしれませんが、昔、NYにはマシュマロマンという悪い奴がいて、ビルをなぎ倒したりしました。1980年代のM.Porterが活躍したころの時代の話です。
マシュマロマンはGhostbustersという英雄たちによって消されましたが、月夜の晩にはSternの建物をマシュマロマンが持ち去って休講になってくれたら、どれほど素敵だろうかと願ったものでありました。
閑話休題。
準備期間中には、教授室を訪問して進捗報告を行い、上記のフレームワークを適切に用いているか、重要な経営数字をマークしているかを確認されます。
一方で、それ以外のケースについて誰が競争戦略上、勝利に値するかを問うWho deserves to winというレポートをAHP理論などを用いて決定するものが課されます。
私はElectrohome社というカナダのプロジェクターを販売して塩梅よく事業展開していた会社が、Sonyの北米進出によって市場から駆逐されそうな憂き目に遭うというトホホな会社の戦略をどうすべきか?というケースをプレゼンしました。これは、かつて最も売れたHBSのケースだったそうで、時代が1991年のものであるため、ケースも注意深く読めばBCGマトリックスや経験曲線、Value mapが描けるようなデータがちりばめられており、なるほど興味深いケースでありました。
ケースを常に持ち歩いていたおかげで、NEC,Sony,Barco,Electrohomeといった登場企業の国別、カテゴリー別の数量、金額シェアを経年で言えるようになったことは言うまでもありません。知識は荷物になりませんから、きっとKBS卒業後に役立つことでしょう。
現在は、イタリア出身の学生が熱く語ったDucatiのケースのBoard memberとしての質疑も終了し、残すは個人レポートのSecond midterm report 1つを来週残すのみとなりました。
感慨深いです。
とはいえ、私にはいまだに下記科目がongoingでありまして、終わりが全く見えません。
- Decision model:
Spreadsheet modelingの科目。solver, premium solverを用いてもうお腹いっぱい、というまで債権と株式のポートフォリオの最適化を行った後に、crystal ballを用いてNPVのValue at riskを先生、そろそろもういいのではないですか?というまで計算し続ける科目。レポートがあと2回、プレゼンが1回残っております。
- Marketing Research:
Marketing Researchを行う活動や検索方法を学び、その後、1次情報や2次情報を統計処理するための統計処理を統計ソフトを用いて、もうお腹いっぱいといってもやりつづける科目。レポートがあと2回、takehome examが1回残っております。
- Multinational Business management:
多国籍企業の戦略を議論する科目。最初の90分をレクチャーで、後半90分をケース分析を行います。レクチャーでは、Pankaj Ghemawat のCAGE理論を筆頭に著名なフレームワークを学び、妥当性をケースで検証するという構成ですが、授業のうまさと、ケースの選択に教授のセンスを感じずにはいられない秀逸な授業です。 今日のTake-awayとして授業最後にwrap-upも周到に準備されており、感心せずには居られません。
グループでのケース分析レポートは、Appendixのdata tablesが大好物の学生が多いNYUのためでしょうか、当然のようにCFを計算しNPVを出し、定性分析に基づき、3つのシナリオに書き直して、お決まりのCrystal ballでValue at Riskを算出し、海外進出する国が当該国で妥当か、手段がexport(shipping, lisencing/franchising), alliance (non-equity, equity, Joint Venture), FDI(acquisition, greenfield)のうちどれが適切なのかを結論します。定性分析だけで提出する勇気ある学生グループはいないのですが、さりとて、定量分析を頑張ったからといってフレームワークを使っていないと評価されないという、とても学びの多い科目でありました。
この授業は、個人レポート2つを終え、あとはtake home examを残すのみとなりました。
- Business Start-up practicum
アントレ科目です。ひとことでいうと、ものすごく辛いです。泣きそうです。意味もなく英語で表現すると、In a nutshell, it nearly kills me.です。来月21日のプレゼンと25ページのレポートに加え、電話ミーティング好きなメンバーと夜な夜な電話ミーティングの日々が続きます。
次回は、小生のタイムマネジメントがまずいのか、他の学生はNY lifeを満喫できていないのか?を検証したいと思います。